第1章 1
とは思ったものの、体はクタクタ。
一度シャワーを浴びて潜り込んだ布団から出る気は、微塵も無い。
かといって、『相手』に来てもらう気も無い。
ケータイのアドレス帳には、何人かの『顔見知り』ならぬ『体見知り』の情報が入っとるのは確かなんやけど、あいにく今日はそんな気分やない。
「・・・ん」
アドレス帳を見ていくと、頭の中の選択肢に無かった名前があった。
──────マネージャーの恵梨。
「・・・・・・まだ・・・起きとるやろか・・・」
ケータイの画面の時計は、『00:43』と表示されていた。
「・・・・・・」
俺の指はケータイを操作し、いつの間にか恵梨の電話番号を選択して、発信ボタンを押していた。