戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第11章 源典侍の巻―幸村中将-<改訂>
『思いながら』とは思うだけで実際は何も行動しない。
考えている振りをして実は何も考えてない。
しかし俺と源典侍の間には何も無いのに、『思いながら』は無いだろうよ。
恋もしていないのに恋の終わりなんてそもそも無いだろうが。
恋すら発生していないのに縋りつく源典侍の扱いに困っていたら、ふと御障子を細めに開けて覗いている帝の姿に気付く。
こんなみっともないところを見られて恥の一言だ。
俺は源典侍に丁寧に言う。
「さあ、こんなところ他のかたが見たら誤解になるから離れてください」
源典侍は言う。
「私達はそんな簡単に離れるような二人なのですか?」
いや、だから、そもそも俺達の間には何もないだろうが。
扇を交換してしまっただけで後は何もしてないぞ。
そう、それがなによりの原因だったんだ、しまったなぁ。
俺と源典侍の事はすっかり恋仲だと宮中に広まってしまった。
「なんで俺があんなおばばさまと関係持たなきゃいけねーんだよ!」
おかしな噂に俺は行き場のない怒りをぶつける。
周りからは「何を好き好んであのような老女と」と呆れた声が聞こえてくる半面、「あのようなおばばさまと深い仲になられるなら、他にも忍んで契られている女人はいらっしゃるのでは?」との声も上がり、「なら私も」と積極的な誘いがますます増えてきてしまった。