戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第11章 源典侍の巻―幸村中将-<改訂>
自分の扇を広げてかざし源典侍はきどって振り返ったが、その姿は後ろ姿の美しさとは違い見た目は残念なおばばさまにしか見えなかった。
しかし、すごい色調の扇だな。
源典侍のかざした扇の色合いが気になる。
しかしながら、扇を交換することは恋人どおしだと認めることになる。
俺はこのおばばさまと恋人になる気は全くないし、おばばさまもまさか息子や孫と言っていいような年のおとことどうこうなりたいとは思わないだろう、そう俺は早とちりしてしまい、まさかと思いながら俺の扇と源典侍の扇を取り換えてしまった。
これが完全は失敗だった。
源典侍はトシだし、まさか女の部分を未だに残していると俺は思わなかった。
ちなみに交換した真っ赤すぎる派手な扇をぱらりと開くと歌があった。
大荒木(おおあらき)の森の下草老いぬれば 駒もすさめず刈る人もなし
俺ははっきり言ってあけすけな歌に驚いてのけぞった。
『森の下草老いぬれば』は熟女ならまだ許される。
が、盛りを過ぎた下草は馬も食べず刈る人もいないと嘆くとは、源典侍は自分をいくつだと思っているのだろう?
そう、俺は女がどういう生き物か、まだまだ知識の足りない若造だったのだ。
源典侍は、俺と扇を取り換えた事で自分が俺と恋人になったと思いこんでしまった。
おいおい、俺は孫と言ってもおかしくない青年なんだぞ。
そしておばばさまは少ししゃがれた声で詠う。