戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第9章 朧月夜の巻―家康中将-<R18>
「俺は貴女の初めてのおとこだ。そうそう初めてのおとこは忘れないよね」
「…」
真っ赤になって横を向く舞。
すると「失礼いたしまする」と衣擦れの音と共に、4人の女房が入ってきた。
家康中将の動きを封じ込めた、あの4人の女房だ。
「舞姫様、お着付けを」
無言で二人で直接見ないようにいざってきた女房達が、舞へ着物を着つける。
一人だけ家康中将のところに来て「お手伝い、致しまする」と着替えるのを手伝った。
無言で手伝う女房達に不気味さを覚えつつ、聞いてみる。
「舞のこの秘密は、東宮入内後も続くのか?」
「…何の事でございましょう」
知りつつ、知らぬ振りをする、最高の女房の鑑だ。
「舞、また会おう」
着替えた家康中将は、舞を呼んで、ただ一言、言う。
女房が笏を拾って家康中将に渡す。
あの、家康中将の熱を嬲った笏、だ。
家康中将は笏を受け取り、舞を見る。
舞は笏を見て、思い出して、赤くなる。