第55章 移りゆくとき　―明石の上＆謙信源氏―＜R18＞

それを聞いて私はほっとする。

「それを聞いて…安心しました…」

私が安心して肩を落とすのを見た謙信様は、私を自分の胸へ抱き締めてくださる。

「おまえから姫を奪ってしまい、悪い事をした。しかしこの光源氏の娘であるならば、将来必ず悪いようにはしない。だからこのまま紫に預けてくれ」

「もちろん…わかって…おります…」

私のこの答えで謙信様はまた私に口付けをされる。

今度は、もう、拒まない。

謙信様によって衣装を脱がされ、私の乳房をまさぐる。

「あぁ…姫を産んだというのに舞のからだは若々しいままではないか…」

謙信様はこうおっしゃってくださるけれど、出産を経験したからだは何となく緩んでいかにもなたるみも出来て、とても若い女人と比べられるようなものではない。

でも、謙信様がそうおっしゃってくださるから…私は一気に久方の情事へのめり込む。



謙信様の優美な動きが私を翻弄し、私は何も知らなかった頃の娘のように戸惑うものの、謙信様の長く細く冷たい指先が私の熱くうねるところを探りあて、ゆっくりと快感を押し上げる。

恥ずかしい声を上げるのがはばかられ、口を手でふさいでいたら謙信様が近付いて言う。

「何故、声を隠す？おれは舞のどんな声も聞きたいのだ。おれによっていやらしくもだえる声を聞かせて欲しい…」

「…はい…」

恥ずかしい、けれど、謙信様に全て聞きたいと言われ、断る女人がいるのだろうか。