戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第55章 移りゆくとき ―明石の上&謙信源氏―<R18>
「…っ…んっ…」
口内に割りいって入ってくる謙信様の舌の動きに、私はついていくのが精一杯。
それが謙信様が、他の女人たちといかに付き合ってきたかわかるようで私は少し面白くない。
けれど、貴族の殿方で見目麗しくたくさんの高貴なお家から結婚の申し込みがあっただろうに、そういうかたではなく、田舎に住む私を選んでくださった事はやはり何かの縁が有ったというべきだろうか。
だからこそ嫌われたらとても恐ろしく、そんな事にならないよう、着ているものから振る舞いなど田舎者と笑われないように努めるようにしている…
性急に私の着物を肩から滑らせる謙信様の手を必死に私は止める。
「お待ち…ください…」
「何故だ?おれとの久し振りの契りは嫌なのか?」
驚かれる謙信様に私は首を左右に振って理由を述べる。
「違います…その…紫様にお預けした姫は…いかがかと…紫様にご迷惑を…お掛けして…いませんでしょうか…」
そう、何より私が知りたいのは、お預けした娘の近況なのだ。
お預けしたからにはもう、自分の娘と思ってはいけないのはわかっているものの、それでも腹をいためて産んだ子なのだもの、せめて元気かどうかくらいは知りたい。
謙信様は私の顔を見て、私の真剣さを理解してくださったらしい。
軽くためいきをついて座り直すと私の両手を握った。
「姫は元気だ。紫にもなじんで毎日楽しく過ごしている」