戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第9章 朧月夜の巻―家康中将-<R18>
内裏にて左近の桜を愛でる宴が開かれた。
紫宸殿(ししんでん)の正面に現帝の御座所(ござしょ)があり、左近の桜に例えられるのは、次の帝となる家康中将の兄、一の宮の東宮。
右近の橘に例えられるのは藤壺の中宮。
物見の妃や供の女房の衣出し衣(いだしぎぬ)が華やかにこぼれる。
弘徽殿の女御も派手やかな宴の誘惑に勝てず、ご覧になっていられた。
おとこ達は衣冠束帯の正装で身を包む。
行われるのは探韻(たんいん)。
そしてうらうらとゆるやかに桜の花が舞う中、舞われる楽は「春鶯囀(しゅんのうでん)」。
ゆるゆると舞う家康中将の姿に、一座するひとびとから感嘆の声が挙がる。
そして、夜が更けて宴が終わる。
現帝は御座所をお立ちになり、今宵の伽は弘徽殿の女御。
上達部(かんだちめ)も退出し、藤壺の中宮や東宮も退出なさった。
真夜中を過ぎた淡い月の光の中、そそのかされたように家康中将は飛香舎(ひぎょうしゃ、藤壺のこと)へ行ってみるが、きちんと戸締りされ、入る隙が全く無い。
目の前は弘徽殿。