戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第53章 貴方と私を繋ぐもの ―佐助ノ君&八ノ宮大君―<R18>
「やあ、ありがとう。開けても良い?」
硯箱を受け取った佐助は、ひもを解き中を開ける。
中には舞が数日掛けて縫っていた、襪(しとうず)が三足分入っていた。
「これ…」
「はい、襪です。参内される時に使っていただこうと思いまして」
「ありがとう。次の参内から早速使おう」
佐助の言葉ににっこりと舞は微笑み、その微笑みに佐助はどきりとする。
佐助は土器をコトリと懸盤に戻すと、自分の両手で舞の両手を握った。
「やっぱり…ずいぶん無理をしたようだね…指先にいくつもの傷がある」
「あ…えっと…これは…」
まさか指先の針を刺してつくった怪我を見付けられるとは思わなかったので、言い訳が思い浮かばず舞はしどろもどろになった。
「俺のためは嬉しいけれど、きみが怪我をするのは嬉しくないから、無理はしないで欲しいな」
そして佐助は握っている舞の両手を自分の顔前まで上げると、指先をちゅ、と一本ずつ口付けしていく。
「えっ…と…佐助…くん?」
指先への口付けに驚くと共に顔を赤く染める舞。
舞の指越しにその顔を見て、佐助は色気を含んだ声で言った。
「襪のお礼を、たっぷり…しないとならないな…」