戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第53章 貴方と私を繋ぐもの ―佐助ノ君&八ノ宮大君―<R18>
佐助を迎える為に衣装を改める舞は、そのまま化粧も直して髪もくしけずり、背丈より長い黒髪は艶めく。
「まぁまぁ舞様、いつもより更にお美しいですわね…」
女房が感嘆の声をあげ、他の女房たちも同意したとばかりに頷く。
「佐助様が見たら惚れ直しますわね」
他の女房が言い、舞は嬉しそうに「そうかしら…」と微笑む。
そんな事を言っている間に「佐助様のお越しです」と外から声が掛かり、女房たちが静かに座る位置を変える。
佐助が几帳をからげ清廉な姿を見せて入ってくると、女房たちがほぅとため息をつく。
「お酒を持って参りました」
懸盤(かけばん)を運んできた女房たちから室内の女房が受け取り、佐助の前にそれらを並べる。
「それでは舞様、私共は…」
そう言って女房たちは衣擦れの音だけをさせながら、静かに二人の前から見えなくなった。
「佐助くん、どうぞ」
舞は提子(ひさご)を持つと、土器(かわらけ)を持った佐助に静かに酒を注いだ。
「ありがとう、舞さん」
佐助は礼を言うと一気に土器の酒を呑み干す。
「佐助くん、お誕生日おめでとう。私からの贈り物なの」と例の縫い物を入れた硯箱を、舞は佐助の前に差し出した。