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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第50章 恋は秘密が似合う ―家康中将&朧月夜―<R18>


「いけませんよ。光る君様のお家柄からして、無視して良いかたではございません」

てきぱきと女房が硯や紙を用意するので、筆を持って返事を舞は考える。



やがてさらさらと筆を動かして何やら歌を詠み、その文は家康の許へ届けられた。

「ふぅん、あの姫はこういう歌を詠むのか…」

優美な手蹟で書かれた優雅な歌は、大臣家の姫らしいおっとりと美しい歌で育ちの良さを思わせるものだった。



「しかし…なぁ…」

家康は歌とは違う舞の正体を知ってしまい、正直困惑する部分も無い訳ではなかった。

「あの姫はなんたって兄の東宮に入内する姫なんだからなぁ…それなのに先に俺と契ってしまって良いものかねぇ。それもあんな風に俺の四肢を縛り付けて行為に及んだくらいだから、とんでもない性癖も持っているかもしれないなぁ。落ち着いている兄東宮には刺激が強く、そして姫には物足りなさを覚える入内後の生活になるかもしれないか…」

いろいろこじつけて家康は入内しても舞と会う気なのだ。

「あの性癖には俺でないと東宮ではついていけないかもしれないからな。俺が代わりに相手をするとしようか」





二人の逢瀬は左大臣の姫の婿である家康と、右大臣の姫である舞と、敵対するおとことおんなの危険なものとなる。

彼等の側近や女房が、だから巻き込まれ、他の側近や女房に言えずに密かに二人が会えるよう算段しなくてはならなくなってしまう。

「ええ、家康様が危ない橋を渡るのが好きなのは存じてますがね、右大臣の姫様となると危険極まりないと思います。見付かったら政治生命の終わりですよ」

側近である惟光が言うものの、家康は頑なに舞と会う事を止めないのだった。
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