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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第50章 恋は秘密が似合う ―家康中将&朧月夜―<R18>


まさかまだおとこを知らない朧月夜に縛られるとは思わなかった。



だが、家康というおとこを知った今後、入内にどう影響するのだろうか。



光の君こと家康は、兄の東宮へ入内予定の姫に手を出してしまったことを後悔しながらも、自分から積極的に誘ってきた朧月夜に他の姫には無いものを感じ、彼女と今後も接するだろうという思いが拭えなかった。





「姫様、文が」

朧月夜付きの女房がそっと朧月夜こと舞に文を渡すと、舞は形の良い眉をひそめる。

「…家康様ですよ」

「まぁ、いわば政敵の家まで届けてくださるなんて…」

ひそひそと女房と舞の間で話しをする。

舞は右大臣の六の姫で今帝の弘徽殿の女御を姉に持つ、家康にとっていわば政敵であり、そんな状況で隠れて文を舞へ持ってくるのは一苦労だったはずだ。

それでも関わりをもった舞のために文を届けてきた家康の愛情に、心が躍るのを止められない舞は文を開く。

書かれているのはひとつの愛の歌。

誰宛てとも誰からとも記されていないものの、この時代の文は手蹟(て)で誰から届けられたものなのかわかってしまうものなのだ。

舞も勿論、手蹟からこの文が家康から届けられたものと気付き、事情を知る女房とその手蹟の美しさにため息をつく。

「…このかたのお手蹟は美しいわねぇ。お返事を差し上げるのが気掛かりだわね」

舞は気後れするものの、女房は返事をするよう舞に進める。
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