戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第7章 若紫の巻―秀吉中将-
そう言って恥ずかしそうに、横を向いたまま差し出した紙に書かれた歌。
かこつべきゆえを知らねばまどわれる いかなる花のゆかりなるらん
いったい私は、どのようなかたの縁の者なのでしょう?と聞いてきた。
「いかなる花の」ゆかりなのか、舞姫は知らなくて良いのだ。
ゆっくりと秀吉中将は愛を注ぎ、自分好みのしっとりとした女人にしたいのだから。
舞姫は、いつの間にか秀吉中将を兄と親しむようになっていた。
秀吉中将も外から帰れば、西の対へ行き、舞姫と他愛ない話しに興じた。
少女が年頃の乙女になるのを待つ。
その年月は、秀吉中将には全く苦にならなかった。
秀吉中将の好みのおんなぎみになってもらうため、細々とした事から全て教えこむ。
雛遊びばかりやっていたおさなごも、いつかは大人への階段を昇る時が嫌でもくる。
日一日と愛くるしさが増えるばかりの舞に、秀吉中将は邪な心を時に持つ事もあり、そのやり場のないからだの熱は、他の女人の許で発散させてくる為、普段は毎夜舞姫を自分の懐にくるむようにして二人で眠りにつくのに、舞姫が一人で休むときも出てくる。
「ねぇ、どうしておにいさまは、今日は一緒に寝てくださらないのかしら?」
まだまだ無邪気な舞姫に、女房もはっきりした事を言えずにいる。
「殿様はお忙しいのです。ですから今日はお一人でおやすみあそばせ」
やがて、時は流れ、少女は美しく匂やかな乙女に成長した。