戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第49章 天女と淫靡な愛をする ―信玄源氏&女三ノ宮―<R18>
母の桐壺更衣はあまりに桐壺帝に愛されたため、弘徽殿女御や他の女御たちに妬まれ小さな嫌がらせが続いて心労を患い、すっかり精神的に弱って亡くなってしまった。
幼かった信玄は、母更衣の実家に引き取られ祖母に育てられるのだが、その祖母も数年で亡くなる。
そんな祖母に可愛がられて育っている時、誕生日を迎えた信玄は、盛大に祖母から祝ってもらったのをうっすらと覚えていた。
帝の第二皇子として亡くなった娘の産んだ孫は、祖母にとってやはり既に亡くなった夫の願望を叶えてくれるかもしれない存在であり、大切に育てるのが自分の使命だったのだ。
そんなおとなの事情があったとしても、信玄には、暖かくいつも抱き締めてくれていた祖母のぬくもりは、大切な記憶として沈み込んでいる。
祖母が亡くなってからの信玄は宮中で育ち、その女房たちも成長して麗しい貴公子になっていく信玄に、誰もが見知らぬ隙をぬっておんなとして手を出してくるのも常套手段であり、いつしか信玄はそんな女房たちから男女の事を学んでいった。
「そうだな…俺がおばば様のところにいた時が、一番暖かく包んでもらっていたな…」
水菓子を口にしながら信玄は遠い目をし、惟光に文の準備をさせると何やら歌をさらさらと認め、外の紅葉を一枝折らせると結び文にし、惟光にひそりと耳打ちする。
「かしこまりました」と惟光は頷くと、別な者を呼びその者に文を渡すと届け先を伝え、その者が文を頂いて去って行った。
やがてその使者が返事を携えて戻ってき、惟光から信玄へ文が渡される。
優美な字であくまでさらりと返信されたひとつの歌に、信玄は片頬をゆっくりとあげて笑みを浮かべる。
「さすが藤壺中宮様だな…」
自分の露骨な求愛の歌をおぼろにぼかし、他の事に紛らわせて返事としてしまう術は、並大抵の女人には出来ないからこそ、信玄は中宮に更に惹かれる…