戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第48章 長月も愛する ―政宗源氏&夕顔―<R18>
そして牛車に乗って舞に会いに行く。
この時代、おとこが女人に会いに行くのは堂々と行くものでなく、ひっそりと隠れて行き帰るのもまだ暗いうちに帰るのが恋人たちの決まり事だった。
だから俺の牛車についているのは、女人のところに行く時は牛飼い童の他、惟光と警護の者ほんの数名だ。
ゆるゆると牛車は夜道を行き、舞の待つ小邸へ到着する。
俺を下すと牛車はそこに留まっていると目立つので、牛飼い童と警護の者でどこぞへ隠しにいき、近くには惟光が侍るだけとなる。
とはいうものの惟光も侍っているのもしばらくの間。
俺が舞といちゃつき始めれば数刻は動かないとみて、自分もどこぞのおんなのところへするりと移動してしまうのだ。
俺が知らないと思ったら大間違いだ、ちゃんと把握していて、いちいち咎めないだけだ。
舞の小邸へ到着し、舞の許へ顔を出すと、舞が何故か俺に頭を下げていた。
「ん?どうした?何かあったのか?」
俺が問いを投げかけると、舞はいつもの愛らしい顔をあげて俺を見て言った。
「いえ…政宗様、今日がお誕生日とお伺いしてましたが…違いましたでしょうか」
「…あぁ…そういえばそうだな。ありがとう、俺が忘れていた」
この時代、誕生日なんて概念が無く、本来は新年になったら全員ひとつ年を経るのだ。
だから舞がよく俺が生まれた日を覚えていたな、と感心した。
俺が言うと、舞はほんのり顔を赤らめながら答えた。