戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第1章 夕顔の巻-政宗中将-<R18>
「おまえの名前くらいは教えてくれてもいいんじゃないのか?」
ある時、政宗中将はおんなの名を聞く。
しかし、おんなは本名を告げない。
「そうですね…では舞とお呼びくださいな」
「…舞…おまえの名前なのか?」
「…さあ?」
舞と呼んでほしいと頼んだおんなは、ふふ、といたずらっぽく笑う。
笑うと少女のように幼いおんなだが、夜を共にすると、大胆で離れがたい一面を持っている。
しかし、この五条の家はあまりにも狭く、明け方になると周りに家々から起きだしてくる人の声や、うすをひく音が低く響き、ゆっくりと語ることが出来ない。
「どうだろう?静かなところでゆっくり舞と、ものがたりがしたい」
政宗中将は舞に問いかける。
舞はふんわりと微笑む。
「こわいから嫌だわ…」
その微笑んだ表情は、こわいなぞ全く思っていない顔だ。
舞の裏腹な態度を壊したくなる。
「そんな事を言わず、一緒に夜明けを見るぞ」
強引に舞を連れて、近くの、今は誰も住んでいない某の院へ赴く。