戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第1章 夕顔の巻-政宗中将-<R18>
扇を広げるとなかなか見事な手蹟(て)で、歌が読まれていた。
心当てにそれかとも見る白露の 光そえたる夕顔の花
『ははっ、この俺に〈貴方は政宗中将さま?〉と大胆にも聞いてきたか』
これはますます興味がわいてくる。
「惟光」
牛車の横を歩く惟光を呼ぶと、すぐ近くで返事が聞こえた。
「先程の家だが、どんな人物が住んでいるのか調べるように」
命令し、そして、二条に戻ってから返しを送ってみる。
寄ればこそ誰かとも見ん黄昏に ほのぼの見つる花の夕顔
しかし、返事もなく、その家のおんなとはそれきりとなった。
そのはずだった―
すっかりおんなの事を忘れた頃、惟光が守備が整ったと伝えにきた。
おんなの正体は未だわからないものの、惟光は女房と交渉を持ち、そこから政宗中将をおんなのもとへ通わせることに成功したのだった。
おんなは政宗中将と交渉を持っても正体を明かさない。
よって政宗中将も自分の事は明かさない。
お互い誰かわからない同士で、おとなの付き合いを愉しむ二人の男女。