戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第42章 戦国源氏のくりすます ―安土城戦国源氏―
「聞いたぞ。政宗に家康も手伝うと言ってきたらしいな」
「ああ、早いな、知るのが。政宗と家康なら確実に頼んだ事は実行してくれるから、安心して頼めるよ」
「そうか、俺は役立たずか」
光秀はわざとらしく扇を広げて顔を隠し、そのまま横を向く。
その姿を見て、秀吉は光秀に、先日軽く口付けされた事を思い出した。
「…わざと拗ねても無駄だ。勿論おまえにも安心して鷹狩りを頼んだつもりだ」
思い出したところでどうにもなる事ではないし、なっても反対に困るので、忘れた振りをして秀吉は普段通りに光秀に話し掛けた。
おやおや、という顔をして光秀は秀吉を見る。
「そうか。すると俺が演技するまでも無かったって事か」
「それが演技って態度か?全く嘘くさい」
秀吉は少し肩をすくめて光秀に言う。
「とにかく、時が無い。おまえも頼んだ事は、必ずやってくれると信じて、安心して頼んだからな」
秀吉は急ぎ足で、忙しさを演出し、光秀の前を去った。
『くそっ、あれを思いださなければまともに話せたのに、変に緊張してしまった…』
秀吉は思い出しながら、唇を手でぬぐい、ばたばたと優雅さをかなぐりすてた。
忙しいを理由にさっさと目の前から去って行った秀吉の姿を思い返し、光秀は何かに思い当たる事でもあったのか、扇を開いて底の見えない笑みを浮かべた。