戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第42章 戦国源氏のくりすます ―安土城戦国源氏―
手分けして準備を行ったおかげか、くりすます当日までに支度は出来上がった。
懸念はサンタの衣装を家康は着るだろうか?
しかし、御匣殿(みくしげどの)に聞いたら、確かに家康は衣装の製作を依頼していた。
家康もちゃんとやるな、と思っていたが、当日家康の衣装を見て、秀吉は首を傾げた。
『絵巻物と衣装が違う?』
不審気な秀吉の表情に気が付いたのか、家康は秀吉に話しかける。
「あの巻き物に描かれたものと同じ衣装は、はっきり言って着たくありません。なんですか、赤い衣装はともかく、さんたとは、白い大きなひげをたくわえた老人ではないですか。でも、自分で着ると言いましたからね、姿は自分で変更しました」
道理で赤い着物であるけれど、一度だけ見た巻き物とは違うはずだ。
家康は巻き物に描かれた衣装を、自分流に変えたのだった。
変えすぎて、女房や女官達の視線が家康に見事に突き刺さっている。
『しかし家康はずいぶん大胆に変更したな。女房や女官達の目の色が変わってるぞ』
家康は、とりあえず上下とも紅の衣装を着ていた。
ところが下の指貫はともかく、上は胸元を大胆に開け、着物にしては短くて、丈を腰あたりで切って裾を白い布でくるんだ、面食らうような姿だった。
そして、頭は垂れ烏帽子の周囲に赤い布をくるりと巻いていた。
「なぁ、家康、なんでこんなに胸元が開いてるんだ?」
政宗が、女房達の視線を独り占めしている家康に聞く。
「御匣殿に言われたんですよ。どうせだったら『さぁびす』しろって」