戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第42章 戦国源氏のくりすます ―安土城戦国源氏―
大量の巻き物に囲まれる三成は、なにやら書き物に勤しんでいた。
「三成」
秀吉が声を掛けると、紫の瞳を秀吉に向け何でしょう、と微笑む。
微笑むと柔らかい色気がこぼれ、女官達が騒ぎたてる美貌が一層際立つ。
「帝にくりすますとやらを教えたそうだな。一体どんな催しなんだ?支度するよう仰せつかったが、全く何の事やら俺にはわからないからな」
「くりすますの事でございますね」
ささっと巻き物をいくつかどかすと、他のところに置いている巻き物を取り出し、秀吉の前でさらりと広げる。
それは、くりすますを説明した絵巻き物だった。
「へぇ…くりすます、とやらはこういう催しなのか…」
秀吉は感心しながら絵巻物を見る。
「本来は『きりすと』と言う、仏教で言う空海や最澄のような人が生まれた日を厳かにお祝いする日だそうですが…常緑樹にいろいろな飾りを付け、特別な料理を食し、贈り物を交換しあうそうです」
「うーん、常緑樹か。宮中に運べる大きさの木を探させないとならないな。木に付ける飾りは女官達に説明して作ってもらおう。それと調理番に正月みたいな特別な料理を作らせて…後は贈り物か…」
「はい、これが重要だそうです」
三成は絵巻物を読みながら説明する。
「贈り物の内容でどれだけ愛されているか、異国の人達は判断するそうです」