戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第5章 花散里の巻―三成中将-<改訂>
「舞姫の手ですね。温かくて柔らかくて、こんな小さな手で薬玉を作られたり染め物をなさる」
三成中将様は私の手の甲に口付けなさった。
「私は貴女に恋をしています」
「み…みつなり…さま」
こころが浮き上がる。
どうして?私なの?
でもこころのふたが恋で溢れてカコンと外れた。
「わ、私も…お慕い申し上げておりました」
本当に思い切って私の心をお伝えする。
三成中将様は御簾の外から微笑んでくださる。
「舞姫からいただいた薬玉から、貴女の気持ちが香ってきました。
私を愛おしく思ってくださる気持ちが、あの薬玉から常に香ってくるのです」
こころがふるえる。
こころがしあわせでいっぱいになる。
こころがときめく。
私達を祝福するかの如く、花橘は花びらを舞い散らす。
私達を祝福するかの如く、鳥は幸せの唄をさえずる。
私達を祝福するかの如く、風の音が華やかに吹きこぼれる。
「ずっと一緒にいてください。約束ですよ?」
はい。ずっと一緒です。
何もない私を見付けてくださった貴方を幸せにしたい。
ううん、寂しさの中で生きていらした貴方を、優しく包みこむ存在でありたい。
花橘が私と三成中将様の前で、またはらりと花びらを舞い散らす。
〈花散里の巻 終〉