戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第5章 花散里の巻―三成中将-<改訂>
「本当に舞姫と一緒に居ると、穏やかな心地がされます」
「そ、そうでしょうか…?」
三成中将様は気持ち表情を改められると、私におっしゃってくださる。
「舞姫、貴女といると、私は繕わぬ自分でいられます」
続けて三成中将様はお話しされる。
「私は記憶にないくらい小さい頃に母君を亡くし、父帝の他の女人がたの中で育ちました。女人がたはどなたも美しく才気に溢れたかたばかりでしたが、私にとっては気の張る、気を遣わなくてはならない、そんなかたばかりだったのです」
そのあたりは姉様からチラリと伺った事があったっけ…
三成中将様は室内を覗き込むように御簾のごく近くに寄られる。
「舞姫」
三成中将様の端正なお顔がすぐ近くに見え、私はドキリと離れようとする。
そんな近くにいらしてはだめ。
私は自分の恋ごころを抑える。
甘く切ない気持ちはこころの底にしまいこむ。
胸の鼓動で奏でるときめきを抑え込む。
それなのに。
御簾の外から手がするりと中に入り、三成中将様のほっそりした手が私の手を握る。
「…!!」