戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第41章 燻る逢瀬 ―三成源氏&花散里―<R18>
「舞姫、いらせられますか?」
御簾を引き上げ、いつも舞姫のいる部屋へ入ると、奥から膝行(しっこう)する衣擦れの音が聞こえ、舞姫が私の前の几帳の向こう側に座られた。
「お忙しい中、今日はお越しくださり、ありがとうございます」
丁寧に挨拶する舞姫。
「今日は…三成中将様のお誕生日をお祝いしたくて…お越しいただきました」
ああ、私の誕生日だったんですね、すっかり忘れてました。
その事を言うと、舞姫はくすくす笑いました。
几帳越しではありますが、舞姫の何て愛らしい笑い声なんでしょう。
「こちらを」
後ろに控えていた女房が膝って(いざって)、私のすぐ近くへ箱を置く。
「私が調合した可葉(かよう)の香です。三成中将様が以前お使いになられていたのを聞きまして、僭越ながら私が知る作り方でおつくり致しました」
「舞姫が調合なさったのですか?」
「はい」
「それは楽しみです」
私はそう言って、箱の紐をほどき、中に入っている香壺を取り出す。
蓋をそっと外すと、夏の強い陽ざしを和らげるような、可葉の優しい香りが漂います。
「…私が以前使ったものより、優しい香りがしますね」