戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第5章 花散里の巻―三成中将-<改訂>
当然だわ、だって端午の節句はもうとっくに過ぎているんだもの。
でも、その表情はすぐいつもの微笑みに変わる。
「ありがとうございます。この無病息災を祈る香りは、いつまでも燻らせておきたいものですね」
そんな優しい笑顔で褒めないでください。
貴方を忘れられなくなる。
もどかしい、この気持ち。
ふたをして忘れてしまわないと。
苦しいけれど私には何もない。
三成中将様にはふさわしくない…
前にお目にかかった時に三成中将様が私に問われた。
「他に何かお得意なものはあるのですか?」
三成中将様に問われる。
「…そうですね。染め物が好きです。お願いされた通りの色で反物が染め上がると嬉しゅうございます」
「ほう…舞姫は染め物もお得意なのですか」
「そんな…得意と言える程ではございませんわ…」
私が恥ずかしがりながら申し上げると、三成中将様はまたくすくすとお笑いになる。