戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第40章 陽を歩く、闇を揺蕩う ―光秀中将&秀吉少将―
俺は以前のように、近寄ってきた秀吉の唇に、また、人差し指を這わせた。
「!」
「秀吉少将…相変わらず触り心地が良い唇だな」
俺がゆらりと笑みを浮かべると、秀吉は顔を赤くしてまたやったな、と言う。
「前回は出来なかったが、今回こそするとしよう」
俺は左手で秀吉の後頭部を押さえ、右手を秀吉のからだに巻き付け、そのまま俺のほうへ引き寄せる。
「おい、こら、光秀中将!戯れはやめろ」
秀吉が暴れるのを、やはりいいぞ、もっと暴れるが良い、と内心思う。
女房が出てきて、また、俺達の妖しい姿を見るが良い。
「ん、まぁ、失礼、いたしました!」
よし、しっかり見たな、この事を言って歩くのだ。
「あ、待て!これは違う!」
秀吉、今更否定しても無駄だ。
俺が請け負った陰の仕事、おまえまで被る事はない。
俺一人が陰に紛れ、俺一人が闇に揺蕩うていれば良いのだ。
「ちょっとおおお、秀吉様と光秀様、堂々と戯れていらしたわー」
ああ、今回も帝の知るところとなるだろう。
俺の策略の笑みに気が付かず、秀吉は大慌てで俺から離れると言う。