戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第40章 陽を歩く、闇を揺蕩う ―光秀中将&秀吉少将―
「おまえ、戯れにも程があるぞ!?」
「そうか?俺は結構本気なんだが?」
本気ではないが、そんなふりをして揶揄ってやろう。
途端に秀吉は顔を赤くして、俺にふざけるな、と言う。
「ふざけてなぞおらぬがな。俺は秀吉少将と恋仲で良いぞ?」
俺の言に、反対に今度はやめてくれ、と顔を青くする秀吉。
全くからかい甲斐のあるやつだ、冗談にきまっておろう。
俺の陰の仕事に口を出すからだ。
おまえのように王道を歩くやつは、俺のようになってはならぬ。
俺はおまえを友と思うからこそ、陽の中を歩いて欲しいのだ。
俺は赤くなったり、青くなったり、忙しい秀吉へ近づき、誰も見ていない事を幸い、秀吉の唇へ己の唇を一瞬押し付ける。
「…お…まえ…っ」
秀吉は自分の唇に手をやって、赤くなって俺を見る。
陽の中を歩く友よ、俺は今、感じた感触を忘れぬ。
俺は一人で大騒ぎする秀吉を置いて闇へ向かう。
月光すら照らさぬ、深淵へ呑み込まれていくのも、俺にはまた愉悦。
だが、その闇はおんなの黒髪のように、俺には掻き分けて歩む事はた易い。
その道を進むのは、俺のような地獄の似合うやつだけで充分だ。
「待て、光秀中将!いったいどういう事だ!」
ふん、己で考えれば良いだろう?
<終>