戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第5章 花散里の巻―三成中将-<改訂>
三成中将様が姉様のところにご機嫌伺いにいらしたと女房に聞き、端午の節句の薬玉を一つ手元に用意して、こちらへのお運びを待つ。
「舞姫、いらせられますか?」
姉様のところからお帰り前に、私のところへお寄りくださった三成中将様。
お忙しいのに、きちんとお約束を守ってお寄りくださった。
そのお心遣いは私だけにではないのだろうけれど、今は私に向けられる紫の優しい瞳にこころが甘くときめいてしまう。
たかなる、鼓動。
苦しくなり、息がしにくくなる。
でも、この想いは抑えなきゃ。
私は三成中将様とは不釣り合いな、どこにでもいるような姿のおんなだから。
この想いはなかった事にしないと…
三成中将様は廂(ひさし)の間にお座りになり、私とお話しくださる。
「こちらをお渡ししたくて」
今更だけれど、お褒めくださった端午の節句の薬玉。
薬玉には五色の糸が長く結びつけてある。
「今更ですけれど、お褒めくださったので。私に出来るのはこんな事くらいなのですが」
驚いた表情をされる三成中将様。