戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第37章 浮舟の巻―信長ノ宮と秀吉ノ君-<R18>
-死にたいと思い詰めていた女人がおり、その地に住み着いた物の怪が忍び寄る。
-物の怪はその女人を拉し、宇治の院の夜の森に置き去りにし、その女人は横川の僧都に誘われるように小野の地へ参られた。
それを聞いた秀吉は驚き、女房に問う。
「そのかたは訝しく思っている人に似ているようにも思うのだが、その女人は今も小野の地に無事でおいでになるのだろうか?」
女房は答える。
「物の怪に悩まされ、大層具合を悪くされている時からお髪を下ろす事を望まれていたそうですけれど、傍の人たちは惜しまれて、決してそれをさせないようにしていたと聞きました。今もそうなさっているはずです」
場所も宇治、時も同じとなると、その女人は舞としか思えない、秀吉は考える。
『死んだと思っていた舞が生きている。それを尋ね当て舞とまた巡り合ったら、自分はどう思うのだろう。きっと思いも掛けぬ事としてさぞ驚くだろうか…』
そして更に思う。
『どうすればそれを確認出来るだろう…まずはその横川の僧都に会うのが一番か』
秀吉は横川の僧都へ会いに行き、僧都は何故秀吉が横川まで足を運ばれたのがさっぱりわからず、突然の権門家の訪問に考える。
『ここ数年ご祈祷についてのお尋ねはあったが、それ以外のお話しは特に無かった。昨秋の女一ノ宮様のご祈祷で、熱心にお勤めした姿をご覧になって、この僧は噂の如く験(げん)が強いと思われたのか…』
法門についての質問の後、世語りになり、秀吉は尋ねる。
「小野のあたりにご領じになるお住居がお有りとか」