戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第37章 浮舟の巻―信長ノ宮と秀吉ノ君-<R18>
女一ノ宮、つまり信長の姉の具合が良くないと、横川の僧都に祈祷の依頼があり、僧都は宮中にて祈祷を数日行い、すっかり女一ノ宮の体調は良くなる。
后ノ宮(きさいのみや)つまり信長の母宮、明石中宮は僧都に礼を伝えられ、僧都は徒然に自分の妹尼の身に起きた不思議な事を話す。
長谷寺へ詣でた帰り、宇治のあたりで妖と思しきものに遭うがそれは妖では無く、記憶を無くした娘だった。妹尼は早くに亡くした自分の娘が戻ってきたとこの娘を引き取り、大層大切に世話をしているという話しで、それを聞いた中宮と側近くの女房は思い当たる事があり、顔を見合わせる。
「秀吉殿と接する機会が有ったら、この事を他の事に紛らわせながらお伝えなさい」
中宮は女房に命じる。
そして宇治では妹尼の亡き娘の夫だったおとこの身内が秀吉に仕えており、舞の一周忌に布施として出す着物の仕立てを頼みたいとして、反物を持ってきて置いていく。
舞は自分の一周忌が間もなく行われる事、そして秀吉が今も自分の事を忘れていない事に内心喜ぶ。
持ち込まれた反物を広げ、愛された秀吉との時を思い出す。
もう、信長との激しく愛されたひとときは思い出さない。
穏やかで静かな熱情を私に注いでくれた秀吉様に一目お会いしたい…
反物を抱え、一人静かに舞は涙を流すのだった。
準備は進み、秀吉は宇治で舞の一周忌の法要を行い、その後中宮の許へ挨拶に参る。
「山里へ通っておりましたが、そこに居た人が亡くなり一年が過ぎました」
一通り話す秀吉の姿が痛々しく、中宮は先日の僧都の話しを秀吉に聞かせるよう女房にいい、女房は僧都の妹尼が正体不明の女人を世話している事を、自身の見聞という形で秀吉に話した。