戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第37章 浮舟の巻―信長ノ宮と秀吉ノ君-<R18>
波越ゆる頃との知らず末の松 待つらんとのみ思いけるかな
舞宛ての文に秀吉は、『物笑いの種にするなよと匂わすと、「宛名違いです」とそのままの状態で戻ってきた。
舞は文を読み秀吉が信長との事に気付いた事に、どうこれから対応すれば良いのか考えもつかずただうろたえる。
そして結論付ける。
自分は死んだほうが良い。
少しずつ他の者に見られて困るものを処分している際中、信長がどうしても舞に会いたいと宇治へやってくる。
しかし、秀吉によって厳重な警備を施され邸に近付く事すら出来ず、女房を一人そっと近くで待つ信長の許へ行かせて説明させるのがやっとだった。
母からも夢見が悪かった、と心配する文が届き、祈祷なぞさせるように、と言われていたが何もせず、ある日、舞は邸を抜け出し宇治川に身を投げた。
気付いた邸中は大騒ぎで舞を探したが見つからない。
やがてその報せは都の秀吉の許に届けられ、亡骸(なきがら)の見付からないまま葬送となった。
薄鈍の服喪の色の衣装を着た秀吉は、牛車を六条院の信長の許へ向ける。
信長は舞の死に残念がり、本当は秀吉に会うのは気まずかったがここで会わないのも怪しまれると思い秀吉と会う。
一人嘆く信長の様子を秀吉は内心冷静に『信長様はいつから舞の事をご存知だったのだろう』と思いつつ、宇治に隠していた舞の事を名や場所などをぼかして、気のおけぬ者として可愛がっていた娘がいて、あっけなく世を去ってしまった事を話すのだった。
信長も知らぬ振りをして、秀吉に応対する。