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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第1章 夕顔の巻-政宗中将-<R18>


「早く良くなれよ。母親に愛されなかった俺には、乳母が母親同然なのだから」

親戚が集まって、みなが政宗中将のありがたい姿と、乳母の病態に涙ぐむ。

見舞いが終わり、政宗中将は牛車に乗り込む。

先ほどの家を思い出し、惟光を呼ぶ。

「あの家は誰が住んでるんだ?」

惟光は、さすがに見舞いに来たばかりでありながら、すぐおんな漁りを始める政宗中将にげんなりしながら申し上げる。

「さぁ、私はあまりこちらには参りませんし、誰が住んでいるのかわかりかねます」

少々むっとした言い方に、見舞い帰りにおんなの事を聞くのはよくなかったか、と政宗中将は諦める。

が、その家の板囲いに巻きつく花が気になり、警護の随身(ずいじん)に一房折るように申し付ける。

随身が花を摘もうとすると、家の中からこざっぱりとした衣装を身に着けた女童(めのわらわ)が出てきて、香をたっぷり薫きしめた白い扇を差し出す。

「こちらに乗せてお渡しください。枝もなく、すぐ、くったりしてしまう花なのです」

随身は遠慮なくその扇を受け取り、花を乗せ、惟光を通して政宗中将に渡す。

その卑しい家の庭先に咲く花は夕顔。

ここに住むおんなと関わりを持つ布石となる、小さな白い可憐な花でありながら昼間は咲かない、夜に会うおんなに相応しい花なのだ。

政宗中将は小さな白い花を珍し気に牛車の中で見つめ、扇に書かれた文字に気付く。
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