戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第35章 とりかえばやものがたり ― 番外編 ―<R18>
一方、右大臣の四の君へ婿として通う、中納言になった舞。
四の君は夫婦の契りの無い生活を変だと思い始めていたが、それを口に出すのははしたないと思い黙っている。
『どうして中納言様は私に触れないのかしら…私が醜くて魅力が無いのかしら…』
一緒に枕を並べるけれど、寝入るまでお話しをして終わり。
女房たちから聞いている事と何だか違う。
殿方は髪を撫でてくる、口やからだに唇をよせてくる、手がからだに触れる…
そんな事を想像して、四の君のからだがぼぅと熱くなる時があるが、それは何故か姫には理由はわかっていない。
ある時、舞の好敵手であり友人の中将の君こと信玄が舞を訪れると、舞は宿直で宮中へ行っており留守だった。
留守なら仕方ない、帰ろうとすると、琴の音が聞こえてきた。
信玄は父が式部卿の宮で、皇族の血を引く。
家柄や身分が良く、外見も良く、女人に人気が有り、色好みと噂の絶えない殿方である。
その信玄が琴の音のするところへそっと赴くと、そこには四の君が女房に囲まれて琴をつまびいている。
月の光を浴びている四の君は大層美しく、信玄は一目で心を奪われる。
そのままたたずんで見ていると、やがて女房たちはあちらこちらで横になり、四の君は御帳台のほうへいざっていった。
信玄は曳かれるようにそのまま妻戸(つまど)を押しあけ中へ入っていき、女房たちはてっきり舞が来たと思って知らん振りをしたままなのも、信玄には幸いした。