戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第35章 とりかえばやものがたり ― 番外編 ―<R18>
今の東宮は帝の弟君、そのかたへの入内との事だが、勿論俺はオトコだから入内は困る。
父上が「娘は大層はずかしがりやで、とても入内には向きません」と断ったものの、それならば帝の唯一の娘、女一の宮へ女房として働いて宮中に慣れてはいかが、と話しが持ち上がり、尚侍(ないしのかみ)として女一の宮に仕える事が決まった。
そして右大臣が父上に俺、つまりオトコとして生活している舞を四の君の婿に、と申し出てことわる理由の無い父上は承諾してしまったと言う。
舞の母上が「何とかなりますわ。四の君は世間知らずのお姫様ですもの。何も無くてもごまかせるでしょう」と言うので、舞は右大臣家の婿として通う事になった。
「大丈夫なのかよ?」
俺は舞に、ごまかしの結婚生活が続けられるのか、問う。
「どうにも決まった事なんだからしかたないでしょ。何とかするわよ」
肩をすくめる舞は、オトコにしておくにはもったいない美貌だ。
「相手は世間知らずのお姫様だもの。何もしなくても気付かれないと思ってるんだけど」
「そりゃ、今はそれで逃げられるかもしれないけれど、お姫様だって女房たちから余計な事を聞いて、その内おかしいと思うようになるかもしれないぞ」
俺が言うと口をとがらせて言い返してくる。
「ほんと、兄様は意地悪ね。でも仕方ないでしょ、決まった事だし、姫には最後まで世間知らずでいてもらうわよ。女房にこんな事、聞くに聞けないでしょうし、親にもいちいち『夫になったかたがえっちしません』なんて言わないでしょ」
「ま、そりゃそうだな」
「私の心配じゃなく、自分の心配もしたらどう?幸村だって私の代わりだけれど、東宮へ入内だって話しだったじゃない。父上が断られたら、今後は帝の女一の宮へ尚侍としてお仕えするって、宮中でものすごい噂なんだから」