戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第5章 花散里の巻―三成中将-<改訂>
私には殿方に好いていただけるものが、ないー
私の一番上の姉様が、現帝の麗景殿(れいけいでん)の女御として入内(じゅだい)されたことから、私はよく姉様女御の元へ遊びに行かせていただいている。
姉様は妹の私が言うのも失礼だがあまり美人とは言えないご器量で、地味で大人しい人柄だ。
それに現帝には特にご寵愛なさるかたがいらして、弘徽殿(こきでん)の女御様すら放っておかれていると噂がある。
姉様は退屈そうに、与えられた麗景殿で日々変わらぬ日を送っていられる。
私はそんな姉様をお慰めするために家からいろいろなものを持ち込み、姉様が喜んでくださるように心を配る。
そんなある時。
姉様のところに参上したとき、とても美しい殿方をお見掛けした。
姉様をご訪問なさってお帰りになるそのかたを、女房から今をときめく現帝の二の宮、三成中将様とお聞きした。
「ほんとに周囲が明るくなって、光の君様とお噂されるの当然ですね」
三成中将様がお帰りになられてから、姉様のところでそんな話しをする。
とても美しくて色っぽくて、でも清潔な感じはお有りで女人なら誰もが夢中になりそうなお優しそうなお人柄に見えて、でも知的な雰囲気もお持ちな完璧な殿方だったわ。