戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第33章 八ノ宮中君の巻―家康ノ宮と三成ノ君-<R18>
いよいよ明日、おねえさまと私は長く育った宇治を離れて都へ移る事になり、三成様がわたしたちの移動のお手伝いにいらしてくださった。
「万事私にお任せください」
微笑む三成様におねえさまが御簾内からお声を掛けられる。
「私たちでは何も出来ません故、全てお任せしますわ」
その後、私はおねえさまと離れて、おとうさまがお住まいとなさっていたお部屋へ移り、おねえさまが三成様と過ごせるようにしようとしたの。
だけれど、今日は三成様がおとうさまのお部屋で過ごすとの事。
「準備もございますし、お二人が宇治で過ごす最後の夜ですから、積もるお話しもお有りでしょう」
三成様のお気持ちに感謝して、おねえさまと宇治の最後の夜を二人で過ごしたわ。
おとうさまと過ごしたたくさんの思い出を残してゆくのはつらいけれど、家康様が都で待っていてくださると思うと、寂しいけれど嬉しい思いのほうが大きいのは罪深い?
私がおねえさまに伺うと、おねえさまも頷かれたの。
「私も同じですわ…おとうさまとの思い出がここにはたくさん有るのですもの。都にはそれは無いですからね。でも…三成様とのこれからを思うと、ここを離れて寂しいと思うより、三成様のお越しを間近で待てる嬉しさ、それのほうがいや増すのです」
おねえさまも同じ思いをしていらっしゃるのね。
殿方に愛される悦びは、そうなってみないとわからないの。
だって家康様がお越しになるまで、私には関係なく、夢のお話しだと思っていたのだもの。