戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第33章 八ノ宮中君の巻―家康ノ宮と三成ノ君-<R18>
「宇治の八の宮…血筋は悪くないでしょうけれど、貴方にとって右大臣とつながりを持つのは大切なのですよ」
わかっている、そんな事。
俺が将来、帝の地位につく時、右大臣が脇にいるのだろうから、権力者の援護を持つ事は必要だって事はさ。
だけど、今の俺には舞以外は要らない。
「間もなく八の宮の姫君たちは、宇治から都へ参ります。そうしたら俺は毎夜中君のところへ通う事になります。されば恥ずかしい思いをするのは右大臣ではないですか。俺は右大臣のちからが必要なのはわかりますが、今は八の宮の中君が一番なのです」
俺の熱意に、俺に甘い中宮は結局今日は折れ、右大臣にはうまく言ってくれる事になった。
二月に入り、いよいよ宇治から姫君たちが都へやって来る日になる。
三成が前日から迎えに行っているのに、俺も付いて行きたいくらいだったが、身分がそれを許さない。
「家康様には都でお二人が到着されるのをお待ちください」
三成にしてはぴしゃりと俺に言って、一人で宇治へ行ったのは、うらやましくてならない。
早く都へ到着しないものか、俺は二条の邸で何をするにも落ち着かず、そわそわと到着を待つばかりだった。
やがて三成の随身がやって来て、姫君たちが都へ到着したと伝えるのが聞こえる。
俺は女房に出掛けるため着替えを命令し、よく香を焚きしめた衣装に着替え牛車に乗って用意された邸へ出掛ける。
三成が言うように近くに用意されたこじんまりとした邸はよく手入れがされ、女主たちが住まうにはちょうど良さげな大きさだった。
寝殿の東と西に姫たちは分かれて住まうようで、舞は東側に住まうとの事だった。