第33章 八ノ宮中君の巻―家康ノ宮と三成ノ君－＜R18＞

「家康様にとっても、私にとっても、大切なお二人。出来るだけ近くを探させました」

さすが三成、ぬかりはないな。

それにしても舞とのあの夜を思い出すと、からだがうずいて仕方ないが、他のおんなで間に合わせようとは思えないのは、舞を本気で愛しているからか。

そうだ、俺は舞を知ってから、ぱたりと他のおんなを相手にする気を無くした。

今迄のおんな達は俺が相手にしないからどうしたのか、と俺が病気なのかと疑ってならないが、そんな事はなく、俺が一人のおんなに打ち込んでいるからに他ならない。

そんな事言ってもおんな達は信じないだろうから、いちいち言わない。

そしてようやく家の手入れが終わり、住まうための道具を運び込んだ、と三成から報告を受けた。

間もなく舞が都へやって来る、と俺は楽しみでならなかった。



三成が手配し、大君と舞が来る日が決まり、俺は母である中宮へ話しをしに行った。

何故なら右大臣の六の君との縁談がまとまりそうになっていたからだ。

六の君は右大臣の脇腹の娘だそうだが、大層な美貌の持ち主で、今は朱雀院の女二の宮の許で育てられていると聞いている。

美貌の六の君に興味が無い訳ではないが、今の俺には舞しか要らない。

俺は中宮の前で述べる。

「右大臣の六の君との話しがあるのは存じてます。でも俺は宇治の八の宮の中君を都に呼び、二条の邸に最終的に迎えるつもりです」

それを聞いた中宮は美しい眉をひそめる。