戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第31章 八ノ宮大君の巻―佐助ノ君・幸村ノ宮-<R18>
「そんな…どうなるかわからないけれど…とにかくおねえさまの為に移りましょう」
三人の会話に、側で聞いている女房達もこの寂しい場所から華やかな都へ行かれる、と今から浮足をたてて舞い上がっていた。
「新しい女房やしつらいも全てお任せください」
そう言って佐助は帰って行き、やがて都に家が見付かり、修繕中だと文があった。
幸村からも中君へ、この事を聞いて『早く会いたい』と熱心な文が届いた。
それからしばらくして全ての支度が整い、二人は父宮と暮らした宇治を後にして、都へ身を運ばれる。
「こんな遠いところを、佐助様は通ってくださったのね…」
道中の長さに感心する舞と中君。
用意された家の門をくぐり、牛車が横付けされると、待っていた佐助と幸村がそれぞれ姫を抱いて、寝殿へ連れていく。
東と西へ二人は寝殿をわけたようで、幸村は東、佐助は西へ移動した。
「待っていた…もう離さない、舞さん」
「見捨てないでくださいね…」
早急な愛の囁きと共に手も動き、佐助と舞は二人きりに溺れていく。
東面でも、幸村が初めて会った中君の愛らしさをすっかり気に入り、離さない様子が見受けられたらしいが、匂ノ宮の話しは次にしような。
こうして二人の八ノ宮の宇治の姫君たちは、佐助ノ君と幸村ノ宮によって表へ出る事となり世間はあっと驚くものの、控えめで余計な事を言わない美貌の二人に、女房たちからの評判も大層良く、この二組は最期まで仲良く、愛し合っていたと言う。
では、次は中君の話しを聞かせてやる事にしよう。
<八ノ宮大君の巻 終>