戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第29章 紫の巻―義元中将-<R18>
幼い女三ノ宮の相手をするのが嫌だ、とぐずぐずし、なかなか春の町の寝殿へ行かない義元中将へ、舞は反対に行くようにお願いをする。
「いけませんわ、三日間はきちんとお通いくださいませ…」
「しかし、俺はどうしても食指が沸かないんだよねぇ…」
「そういう問題ではありません。義元様がお越しにならないと…」
強気で義元中将に行くように勧めておきながら、理由を口ごもって舞は言わない。
「どういう事?俺が行かないとどうなるの?」
みかねた女房がきっぱりと言い切る。
「失礼仕ります。恐れ入りますが、義元様がお越しにならないと、女三ノ宮様側では、舞様が義元様をお引き留めしているのではないか、と邪推される、と舞様はおっしゃりたいのです」
女房の発言に、みっともない事、と舞は袖で横を向いた顔を隠す。
その姿に義元中将は理由に気付き、舞をぎゅっと抱き締める。
「そういう事だったのか…悪かったね、舞。あちらに気遣うなら、だからこそ行かなくてはならないなら、仕方ないから行ってくるよ」
そう言って抱き締めた腕をほどき、舞に口付けをして、立ち上がる。
「すぐ戻るから、今朝のようになかなか開けてくれない、なんて事はしないでくれよ?」
今朝、戻った義元中将は女房達の嫌がらせでなかなか中へ入れてもらえなかった事を揶揄しているのだが、女房達も素知らぬ振りをした。