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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第29章 紫の巻―義元中将-<R18>


まだ暗いうち、義元中将が寝殿から春の町の北の対へ戻って来たが、女房達がわざとすぐに開けずにいた為、義元中将が舞の隣で横になった時、明るく義元中将は声を出す。

「参ったな。なかなか開けてもらえないから、こんなに冷えてしまった」

舞は無言で義元中将の手を、自分の両手で挟み温めるが、義元中将は舞の袖口がほんのり湿っている事に気付き、舞を抱き締める。

「俺には舞が一番だ…他に女人なぞ本当は要らぬ…」

「まぁ…どうしたの…姫宮様がお待ちなのですから、ちゃんと今宵も行かねばなりませんよ」

「…姫宮はお年の割りに非常に幼くて、正直夜の相手をするのが怖いくらいなのだ。冷泉帝に入内した明石の娘のほうが年下だが、あの子のほうが余程おとなびている。そんな幼い少女のような子を、閨の相手にしなくてはならないなんて、俺は正直苦痛でしかない」

「…私は少女のような娘でしたけれど?義元様がお変わりになったあの時は、まだ…」

義元中将の言い分に、舞は自分がおとなにされた時の事を思い出し、皮肉を言う。

その言い分に、義元中将は舞を抱き締めたまま、くすりと小さく笑う。

「ああ、その言い方、それこそ舞だな。あの頃、俺はまだ若くて、我慢が出来なかったからね。そう、目の前に美しく成長した舞がいた。だから俺は我慢が出来ず自分のものにした、という事なんだ」

でも、と義元中将は、真剣な色気を含んだ眼差しを舞に向ける。

「舞は日一日と美しい。普通年を経ていくと人は皆、衰える。だけれど舞は違う。益々美しく、俺は毎日惑わされているんだ」

「義元様…」

義元中将の言う事に間違いはないだろうけれど、舞にはお世辞ともいえるそんな言葉を喜ぶ程幼くはなく、内心大きくため息をついた。
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