戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第29章 紫の巻―義元中将-<R18>
「すまない…朱雀院のお願いをお断りする事が出来なかったのだ…」
義元中将が真摯な顔をして、舞に謝る。
以前よりそっと噂だったこの事が現実となる。
朱雀院の女三ノ宮が、義元中将に降嫁されるという事。
ずっと舞は心の中で否定をしていた。
『今更、新しい女人が義元様の前に現れるとは、もうそんなはずないでしょう?』
しかしながら、今、舞の前に居る義元中将は厳しい顔付きを変えず、兄の朱雀院から頼まれた娘宮の降嫁を断る事が出来なかった、と謝罪しているのだ。
舞は内心を隠し、明るく義元中将へ話し掛ける。
「それは良かったですね。私はこどもっぽいのかしら?宮様がいらしたら、一緒に雛遊びをしたいと思ってしまいました」
「…舞」
義元中将は思わず舞を抱き締めて、言う。
「どうして俺を責めないの?俺は新しい女人をここに迎えようとしているんだ。俺に怒って、つねったりしてくれて良いのに、何故そんな笑顔で良かったなど言うんだい?」
抱き締められるまま、舞は言う。
「だって…朱雀院様から直々のお願いなのでしょう?お断り出来ないでしょう?大切な姫宮様の事を考えたら、やはりちからのある殿方のところへご降嫁なさるよう、父親なら皆、考える事ではありませんか?朱雀院様がおいたわしい…」