戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>
常陸の宮邸では聞く事のない、雅やかに燻ゆる香り。
そして。
舞姫の着物の裾を掴む、別な手がすぐ近くにいらせられた事に気付く。
「!!」
「…舞姫…!」
低音の艶のある声が、舞姫のすぐ近くで聞こえたと思った刹那、御簾をからげて光秀中将が踏み込んだ。
命婦は状況を知り、すぐその場から離れた。
「…舞姫…」
「…」
舞姫は、今にも気を失いそうな程、動揺して汗しとどになっていた。
「舞姫、美しい貴女が欲しい…」
光秀中将はそう言って、逃げるに逃げられない舞姫の固くなったからだを抱き締める。
痩せぎすと言って良いような、小さな小さなからだ。
黒髪だけは灯に艶やかに映り、それだけでも美人の条件は満たしているが、光秀中将はそっと舞姫の顔の回りの髪の毛をかきあげ、顎をつまみあげる。
目の前の舞姫の顔は、初めて見る父宮以外のおとこの前で真っ赤なものの、たおやかで愛らしい、光秀中将が愛人にするに文句無しの容姿だった。
「舞姫、貴女はなんと愛らしいのだ…」