戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>
静かにだがきっぱりと撥ね退ける声が、光秀中将の耳に入る。
『優しく凛とした声…これは良い声で啼きそうだな…』
「あのかたをお断りする術(すべ)はございません…」
命婦は強引に光秀中将を、舞姫の前に案内する。
「舞姫、ご機嫌うるわしくあらせられるか?」
光秀中将の低く艶やかな声が、舞姫の耳に入る。
姿も、背が高くスラリとあくまで優雅。
女房達は麗しい光秀中将の姿に顔を赤らめ、驚いたように姿を見つめている。
しかし、父宮以外の殿方を知らない舞姫は、得体の知らないものを見るように、恐怖で動けなくなっていた。
「…舞姫?何かお言葉をいただけませぬか?」
光秀中将の声は低くて甘く囁くように御簾の中へ通っていく。
「み…命婦…」
まだ何も起きていないのに、既に息も絶え絶えな舞姫は命婦を呼ぶ。
命婦は姫の近くの几帳へいざりよる。
「…いかがなさいました?」
「…私は…奥へ参ります…後は…貴女に…任せます…」
その時だった。
すぐ近くに。