戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第27章 六条御息所の巻―蘭丸中将-<R18>
中将の君と真白の君は、舞の前を下がって、二人だけになってからひそひそと話す。
「蘭丸様のお望みのかたは…」
「それ以上は言ってはいけませぬ。口に出して良いかたではございません」
愛らしい笑顔の蘭丸中将が、元東宮妃より身分高い女人を欲すると言ったら、一人しか居ない。
まさか、と思いながらも舞の観察眼は、真白の君のオバサン発言を見抜く程のものでむしろ嘘では無く、本当の事だろうと思われる。
「それにしても、私達が居ない間に御方様のところに、蘭丸様が入り込んでいたとは思いませんでしたね」
「誰かが手引きしたのですね。本当に油断出来ませんね」
「どうしましょう、手引きしたものを探りましょうか?」
真白の君が言うものの、中将の君はそれを否定する。
「それは止めておきましょう。御方様もお怒りではありませんでしたし、優秀な女房を一人無くすより、懐柔させるのが結局は得策ですからね」
「わかりましたわ…あら、中将の君、お部屋の前に…」
中将の君の部屋の前で、六条御息所に仕える女童が、ちょこんと座って待っていた。
「中将の君様、お戻りなさいませ。お名前をおっしゃらないかたが、文をお贈りなさり、文はお部屋に置いておきました」
「そう、ありがとう」