戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第27章 六条御息所の巻―蘭丸中将-<R18>
「そうよ、私のようなオバサンじゃなくて、真白の君のような若いかたを相手になさいってね」
全てを知り尽くしている舞は、ほほほ、と檜扇で覆いながら優雅に高らかに笑う。
その姿を見て、真白の君は思う。
『御方様をオバサン呼ばわりしていたの、筒抜けだわ…なんて地獄耳かしら…』
「あら、真白の君、地獄耳じゃなくてよ?想像なのだけれど…そのお顔はオバサンと蘭丸の光る君に言っていたって事かしら?」
舞の檜扇で隠された笑みの裏の顔に、中将の君と真白の君は、背中を冷たいものが滴るのを感じ、この御方様は一筋縄ではゆかぬ、と改めて悟るのだった。
「ところで、蘭丸の光る君との一夜はいかがでしたか?舞様?」
真白の君はずばり聞き、舞はあらまぁという表情を見せた。
「そうねぇ…まだお若い、わねぇ…私の動きに悦んでいらして、私は久し振りの殿方の肌に触れましたけれど、あんなにつまらないものだったかしら、ねぇ…
ま、確かに一晩せっかくだったので楽しみましたけれど、私に言わせれば、東宮様との時のほうが激しかったわよ」
中将の君と真白の君に、あっけらかんと蘭丸中将との一夜の事を話す舞。
「蘭丸の光る君が可愛いのは認めますけどね」
舞はふふ、とその一夜を思い出したように薄く笑い、しかしながら真剣な表情になって二人に頼む。
「蘭丸の光る君が、母君の桐壺更衣様を思い起こして、私に可愛がって欲しいというのはわかるのです。でも私は代理で愛されるのはまっぴらです。だからこそ、もう二度とああなってはならないと思ってます。中将の君と真白の君には申し訳ないけれど、貴女がたで蘭丸の光る君をお願いしますね」