戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第27章 六条御息所の巻―蘭丸中将-<R18>
ともあれ本来六条に伺った理由は歌を御息所に贈る事なのだから、まずは挨拶をしに行く。
「御息所様、ご機嫌うるわしゅうございます。いつもつれない添削しか戻ってきませんので、今日は直接ご返事を頂きたく、恥を忍んで歌を贈りに参りました」
俺の挨拶に檜扇を広げる音が御簾の奥深くからし、やがて女房の声が御息所の言葉を伝える。
「愛の歌を贈る姫君がいらっしゃるのでしょう?
ですからその姫君が喜んでくださるよう、わたくしが手を入れる事で、蘭丸様の歌が一層素敵になるお手伝いをさせていただいているのですわ」
「どうして俺が他の女人に歌を贈るって思うのですか?
俺が歌を贈りたいのは、御息所様、貴女なのですよ?」
俺はにっこり笑って、おんなと見まごうばかりの笑顔を炸裂させた。
御簾の中から息を呑む様子がわかり、俺は、自分の笑顔が武器になるのを改めて知る。
『やっぱり綺麗で可愛い俺だから、笑顔で堕としていけるな』
また女房が御息所の言葉を伝えてきた。
「わたくしに贈ってくださるとの由、ありがたくお言葉のみ、ちょうだい致します。
ですから、今後はわたくしにではなく、蘭丸様に相応しい姫君へ贈るようにしてください」
「俺に相応しいと言われますけれど、御息所様は入らないのですか?」
俺は再度しつこく聞く。
「わたくしは蘭丸様より年上ですし、元東宮女御だったおんなです。
もう人様との恋愛を楽しむ年齢でも、立場でもございませぬ」
そうして今回も取り付く島もないまま、御息所の前を下がるしかなく、俺は腹立ちまぎれに真白の君を激しく抱く事で自分の想いを発散させる。