戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>
「それは…」
命婦は口ごもり、明らかに困っているようだった。
「本当に私にも姿をお見せくだらさないかたなのです。
いつも屋敷の奥深くに御身(おんみ)おかれたままで…
なので…どのようにお姿をお見せすれば良いのか…」
命婦の口調と様子に嘘ではないと理解はするが、光秀中将は命婦を説得する。
「そうしたら、俺を直接、部屋へ案内しろ。噂では姫は、赤く垂れさがった鼻を持っていると専らだ。それは本当なのか?それぐらいの確認は必要だろう?」
光秀中将に言われたら断ることなぞ出来ない。
部屋へ光秀中将を直接案内したら、姫がどうなるかは、命婦には簡単にわかる。
容姿が難ありだったら…難ありとしても、目の前の娘に何もしないまま、あの光源氏が帰るとは思えない。
きっと、たぶん、光秀中将は舞姫に手を出してくれる。
そして、愛人でなくても、最終的に邸の体裁を保てるだけの援助はしてくれるだろう。
あまりに寂びれ、受領の家の牛飼い童が平然と庭に入り込み、牛に餌としてはびこる草を食わせているのを偶然見掛けた事のある命婦にすれば、邸が整えばそういうのも入り込まなくなるだろうと考える。
さすがに宮姫もいる邸に、受領の召使いが入り込むのは止めさせないとならない。
そしてその荒れ果てた邸を何故か気に入り、邸を買い取ると言う受領もいて、周囲はこの邸を売って小さな住みやすい場所に移っては、と勧めるのに、舞姫は頑なに父宮と過ごしたこの邸を離れるのを拒み続けた。
そんな事から命婦は、光秀中将を舞姫の元に直接案内することを決めた。