戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第3章 末摘花の巻―光秀中将-<R18>
「舞姫様、久し振りに琴の琴をお聞かせ願えませんか?」
命婦に頼まれ、それくらいなら、と琴の準備をさせる。
「でも、貴女のように華やかなところをご存知のかたが、私の演奏に耐えられるかしら」
自分の演奏が上手なのか下手なのかわからない舞姫は、おっとりと言う。
それでも支度が整うと、月が雲に覆われた空に向かって、静かに琴をつま弾き始めた。
「ふむ…上手とは言い難いが…
しかし、この荒れた屋敷と、月が雲に隠れているうっそうとした空気感の中なら、この演奏も悪くないし…風情はあるな」
光秀中将は舞姫に興味を更に持つ。
一曲弾き終わると、命婦が舞姫に何か言ったのか、曲は聞こえなくなった。
「一曲しか聞かせぬとはどういう事だ?」
戻ってきた命婦に、光秀中将は意地悪い笑みを浮かべて問い掛ける。
理由は光秀中将も本当はわかっているのだ。
「ほほ。こういう時は、さわりをお聞かせするのみで十分ですのよ?」
何て事はない。
命婦が聞いても舞の腕前は、光秀中将に聞かせる程上手とは思えない演奏だった為、さっさと打ち切らせたのだった。
「…次は姿を拝見したいものだ。何とか垣間見(かいまみ)させよ」
光秀中将は舞がどんな顔か確かめたくなる。