戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
自然とその野心が声音にも表れるのか、佐助中将も敏感に変化した舞の態度に気付いていた。
「かしこまりました。藤壺様もお子様もつつがなくお過ごし、との旨をお伝え致しましょう」
帝にお子の父親を知られたら身の破滅になるのは確実だが、舞は自分の産んだ子の行く末を考え、佐助中将は愛する舞の考えに気付き、そして以前占い師に言われた『こどもが一人帝位に着く』と言われた事を思い出し、帝位に着く子とはまさしくこの子の事だ、それならばこの秘密は守りきらなければ、と考えるのだった。
落ち着いたので、と、舞がお子を連れて宮中へ戻り、帝は子を見てこう言った。
『美しい者は似るのだろうか、この子は佐助に大層よく似ている』
舞はその言葉に気を失いそうな心地を味わうが、必死に繕った。
『さようでございますか?私とお亡くなりになった桐壺様は似ていると伺いますし、それもあって似ていらしゃるのではないでしょうか?』
舞の言に笑みを浮かべた帝だったらしい。
そして佐助もしばらくして、改めてお祝いを伝えに帝の前に上がる。
「このたびはお子様のご誕生、まことにおめでとうございます」
帝からは礼とそしてお子を抱き上げ、御簾の中から佐助に姿を見せられる。
小さな赤子を抱く帝の表情は、自分の愛するおんなが産んだ子を愛しく抱いている、そんな様子しか伺えなかった。
そして見せられたお子は、まさしく自分に似ていると佐助中将は思い、舞と共に自分もこの子を帝位に着けるために何でもしよう、と思うのだった。