戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
まだか、と宮中からの催促に、まだ産み月を迎えていない舞は、物の怪が邪魔をしております、と答えて、祈祷させつつ産み月を誤魔化していた。
そして二月後、ようやく産み月を迎えた舞に陣痛が起き、出産と相成る。
全てが白い衣装や道具に包まれる中、苦しさを乗り越え、必死に新しい命を産み出すために息を吐き、周囲のおんな達は赤子の無事の誕生を、息を詰めて待つのみだった。
やがて、赤子の産声が聞こえ、未来の東宮となるべき男児が、産まれた。
宮中でも大変な喜びようで、産後のからだが落ち着いたら、早く戻ってくるように、と矢のような催促の文が舞へ、帝から届けられるようになった。
「お子の様子を、帝へお伝えしようと思います」
佐助中将がお祝いと共に参上する。
彼の目的は赤子の顔を見て、自分に似ているか似ていないか確認したいのだ。
それをわかっているから、舞は女房を通して申し上げる。
「まだみっともないお顔でございます。皆さまにお披露目するには早いと存じます」
そう言われては、佐助中将には言い返す言葉が出てこない。
舞は、男児を出産した事で野心を持った。
-このお子は何が何でも帝の子として、将来の東宮そして帝になってもらいます。
-佐助中将のお子とは、何が有っても絶対認めない、そう決めたの。
-だから、佐助中将には強い(こわい)心で今後は接し、私との仲は続いては困るの。