戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第25章 藤壺の巻―佐助中将-<R18>
佐助中将は何とかしてまた舞と会いたいと思い、王命婦に願うが、王命婦も出仕を止めると言われた為、願いを叶える事は出来ない。
「頼む、王命婦。どうしても…会いたいんだ」
「なりませぬ。佐助中将様のお願いをききますと、私も出仕を止められます」
強硬に拒む王命婦の理由を聞き、出仕を止めてまで王命婦に頼む訳にはゆかない、と佐助中将も気付き肩を落とす。
「何とか会う方法は無いのか」
ぼそりと言う佐助中将の言に、王命婦は独り言のように言う。
「そういえば、間もなく舞様は里下がりなさるんでしたっけ。そうすれば主がいらっしゃらない里下がりのお屋敷は、舞様おひとりのお住まい、さぞお寂しい空間であられるでしょうねぇ」
「…王命婦、ありがとう」
独り言を聞いて、舞に会うなら里下がりしてからが良い、と佐助中将は気付く。
「さあ、何の事、でしょう?私には何も、どなたも、見えておりませぬ」
王命婦も知らぬ振りをして扇を広げて顔を隠し、佐助中将から見えないようにした。
「どうして、佐助、くん…」
里下がりした舞は、暗闇に現れた佐助中将の姿に後ずさる。